※約11,951文字、読了時間20分
こんにちは、いんべすた@です。😊
休日の午後、子供と一緒にショッピングモールを歩いていたときのことです。
文具コーナーの特設ワゴンを通りかかった瞬間、我が子が「あ、ボンドロ売ってる! 前は全然なかったのにね」と無邪気に指を差しました。
見ると、そこには色鮮やかでぷっくりとした立体シール——「ボンボンドロップシール(通称:ボンドロ)」が、何事もなかったかのように大量に並んでいました。購入制限のポップもなく、定価でワゴンに山積みされています。
ほんの少し前まで、休日のたびにファンシーショップを何軒もハシゴし、「どこにも売っていない……」と途方に暮れていたのが嘘のようです。一時期はフリマアプリで定価の数倍で転売され、ポップアップストアには整理券を求めて長蛇の列ができていたはずでした。
ところが今や、棚に溢れ返り、むしろ「ちょっと過剰気味じゃないか?」と感じるほどの落ち着きを見せています。
その光景を眺めながら、私はふと、かつて街中を埋め尽くしていた「あの流行りのドリンクたち」のことを思い出していました。
数年前、駅前を歩けば数メートルおきに出店され、若者たちが何十分も並んでいた「タピオカミルクティー」。あるいは、SNSを席巻した高級食パンやフルーツサンド。あの熱狂的なブームの主役たちは、今どこへ消えてしまったのでしょうか。あれほど街中にあった店舗は、気づけば忽然と姿を消し、別の新しい店舗へと静かに看板を掛け替えています。
2020年のコロナ禍初期に1箱数千円まで暴騰し、半年後に数百円のワゴンセールへと叩き売られた「不織布マスク」。
2024年夏、店頭から姿を消して大騒ぎになったものの、秋の新米出回りで急速に落ち着きを取り戻した「お米(令和のコメ騒動)」。
「ブームが去ったから」「消費者が飽きたから」
世間はそう一言で片付けがちです。しかし、21年間のサラリーマン生活で消耗し、相場の修羅場をくぐり抜けてFIRE(経済的自立・早期リタイア)に到達した私の「スナイパーとしてのスコープ」で見ると、そこには全く違う景色が広がっています。
これは、単なる流行り廃りの問題ではありません。
100年以上も前から経済学で証明されてきた、市場経済の残酷な物理法則「豚サイクル(ピッグ・サイクル/ホッグ・サイクル)」、そして「くもの巣理論」が、寸分の狂いもなく作動した必然の結果なのです。
そしてこの法則は、子供のシールや街のタピオカだけでなく、いま世界中が熱狂している「データセンター」「電力」、そして株式市場の王者「エヌビディア(NVIDIA)」の未来にまで、恐ろしい精度で爪を立てています。
なぜ、世の中の「足りないもの」は、いつの間にか「余るもの」へと姿を変えてしまうのか?
そしてなぜ、強固な参入障壁を持つはずのエヌビディアにすら、需給の罠が潜んでいるのか?
資本主義の裏側に流れる「需給の絶対法則」を、一本の線で解き明かしていきましょう。
第1章:「足りないものは必ず余る」基本メカニズムと3つの条件
1. 100年前の養豚業から生まれた「豚サイクル」
「豚サイクル(ピッグ・サイクル/ホッグ・サイクル)」という言葉は、1920年代のアメリカやヨーロッパの農業経済学の研究から生まれました。当時、豚肉の市場価格がおよそ3〜4年の規則正しい周期で「大高騰」と「大暴落」を繰り返していたのです。
そのメカニズムは、驚くほど人間の本能に根ざしています。
【豚サイクルの4段階ループ】
- ①【不足期:価格高騰】 何らかの理由で豚肉が不足し、市場価格が跳ね上がる。
- ②【増産期:投資ラッシュ】 「儲かるぞ!」と気づいた農家が一斉に親豚を増やし、新規参入する。
- ③【過剰期:暴落】 増やした豚が一斉に育ち市場に出荷される。供給過多で価格は大暴落する。
- ④【縮小期:撤退】 赤字に耐えかねた農家が親豚を処分し撤退。数年後、再び不足して①へ戻る。
「今儲かっているから」と全員が同じ行動をとり、全員で一斉に自滅する。
この人間の強欲と認知の歪みが引き起こす自滅的な循環こそが、豚サイクルの本質です。
2. 経済学が証明する「くもの巣理論」と作動する3大条件
この現象をさらに精緻に定式化したのが、1930年代に経済学者のシュルツやティンバーゲン、カルドアらによって体系化された「くもの巣理論(Cobweb Theorem)」です。
くもの巣理論の核心は、「生産者は『今期の価格』を見て『来期の生産量』を決定する」という点にあります。
これを需要曲線と供給曲線のグラフ上でトレースすると、価格と数量の変動がまるでクモの巣のように同心円を描きながらぐるぐると回り続けることからこの名がつきました。
現代のビジネスや相場において、この「足りないものは必ず余る法則」が作動するためには、以下の3つの条件がすべて揃っている必要があります。
- 「高い値段(儲かる)」というシグナルが、作り手にダイレクトに届くこと
- 市場への「自由な参入や増産投資」が可能であること
- 時間(リードタイム)さえかければ、物理的に供給量を増やせること
この3条件が揃った瞬間、どんなに「今、歴史的に不足している!」と叫ばれる商品であっても、舞台裏では「未来の供給過剰(大暴落)」に向けた時限爆弾のタイマーが確実にセットされます。
第2章:時間軸(リードタイム)で見る「余るまでのカウントダウン」
この法則の極めて冷酷な特徴は、「品薄から供給過剰に転落するまでの期間(賞味期限)は、その製品の生産リードタイムに完全に支配される」という点です。
タイムラグの短い身近な商品から、国家規模の資源開発まで、時間軸に沿って比較してみましょう。
参入障壁が極めて低く設備調達も容易。ブーム発生から数ヶ月〜1年程度で供給が一気に過剰化し、あっという間に叩き売りへ。
動植物の育成期間や作付けの自然周期に拘束される。供給調整のチャンスが年に1〜2回しかないため、翌年に過剰の波が直撃。
数千億円〜数兆円の巨額設備投資と新工場建設を経て、2〜3年後に一斉稼働。需要がわずかに減速した瞬間、逃げ場のない在庫の津波へ。
探査から採掘・精錬プラント稼働までのタイムラグが長すぎるため、完成した頃には需要の前提(EVシフト等)が崩壊。相場が9割暴落する資源地獄を招く。
1. 【数週間〜数ヶ月】タピオカ、シール、マスク
参入障壁が極めて低く、設備がすぐに手に入る分野は、サイクルが電光石火のスピードで回ります。
タピオカ店は、小さな空きテナントと茹で釜があれば数週間で開業できました。ボンドロシールも、クーリアのヒットを見て他社(カミオジャパン、クラックス等)が類似の立体シールを量産してバラエティショップに流し込むまでのリードタイムは数ヶ月でした。中国国内で7万社が参入した不織布マスクも、高騰からわずか5ヶ月後には供給過剰に陥りました。
参入が簡単なビジネスは、儲かる瞬間も一瞬ですが、死ぬスピードも一瞬なのです。
2. 【2年〜3年】メモリ半導体(シリコンサイクル)
キオクシアやSK Hynix、Samsungなどのメモリ半導体では、設備投資が数千億円〜数兆円に達します。
「メモリが足りない!」という価格シグナルを見てから、最先端のクリーンルームを建て、製造装置を搬入してシリコンウェハを出荷するまでには物理的に約2年のタイムラグがかかります。
全社が一斉に「2年後の需要」を見越して新工場を建て、2年後に同時に稼働を始めた瞬間、需要の伸びがわずかでも鈍化していれば、市場には逃げ場のない在庫の津波が押し寄せ、メモリ価格の底なしの暴落(シリコンサイクル崩壊)が幕を開けます。
3. 【5年〜7年】炭酸リチウム(EV資源)の9割暴落
2021〜2022年、「EVの時代が来る!」と世界中が熱狂し、バッテリー原料の「炭酸リチウム」価格は垂直立ち上がりで暴騰しました。世界中の資源メジャーや中国企業が南米の塩湖や鉱山へ殺到しました。
しかし、鉱山を開発して商業生産に至るまでには「5年〜7年」もの歳月がかかります。
投資家たちが2022年の歴史的高値を見て財布を開いたプロジェクトが数年後に立ち上がり始めた頃、欧米や中国のEV販売の伸びは予想外の失速を見せました。需要が鈍化する一方で、数年前に決定された供給が一斉に着弾した結果、炭酸リチウム価格はピーク時から実に9割近く(84〜90%)も大暴落したのです。
第3章:それでも「絶対に余らないもの」の正体——3つの強固な参入障壁
ここまで見ると、「資本主義の中では、どんなものでもいつかは余るのか?」と思えるかもしれません。
しかし、世の中には「どれだけ価格が高騰しても、何年経っても、絶対に供給過剰にならない(慢性的に足りないままの)もの」が確実に存在します。
なぜそれらは余らないのか?
秘密は、豚サイクルの作動条件である「自由な参入」「物理的な増産の可能性」を真っ向から破壊する「強固な参入障壁(モート=経済的な堀)」の存在にあります。
世界中で旅客機が深刻な不足に陥り、バックオーダー(受注残)は10年分に達しています。しかし他社が参入できないのは、万が一の墜落事故も許されない超精密機械であり、型式証明(安全認証)を取得するだけで10年以上の歳月と数千億円が溶けていくからです。
土地の面積は地球上で有限です。さらに用途地域制限(ゾーニング)や景観保護規制といった法的な壁が強固にあるため、デベロッパーが自由に超高層マンションを乱立させて市場を供給過剰にすることが制度的にできません。
団塊の世代が後期高齢者に突入し、老人ホームの需要は爆発しています。しかし、施設(ハコ)を建てても現場の「介護職員(労働力)」が物理的に足りず、ベッドを空けたまま稼働できない施設が続出しています。さらに「介護報酬」という国の公定価格で縛られているため、民間企業が無制限に参入して大増産することができないのです。
第4章:データセンター、電力、金、ビットコインの需給を解剖する
では、ここからが本題です。
いま私たちが直面している投資テーマやアセットは、「豚サイクルで余る側」なのか、それとも「強固な障壁で余らない側」なのか。スナイパーのスコープで仕分けしてみましょう。
| 対象アセット | 需給判定 | 参入障壁と需給の構造 |
|---|---|---|
| データセンター(ハコ) | 余るリスク:中〜高 | 建物自体は「空調と受電設備を備えた倉庫」。リードタイム1〜2年で不動産ファンドが参入しやすく、過剰建設の波を食らうリスクがある。 |
| 電力・送電網・ウラン | 絶対に余らない(物理の壁) | 原発の新設や大型送電網の敷設には5〜10年。住民合意と国家規制の壁が厚く、需要が爆発しても供給を急増できない。 |
| ゴールド(金) | 絶対に余らない(自然の制約) | 有史以来掘り出された量はプール約4杯分。年間の採掘増加率は約1.5%で固定されており、人為的に増産して余らせることができない。 |
| ビットコイン(BTC) | 絶対に余らない(数学の掟) | 発行上限2,100万枚と4年ごとの半減期。アルゴリズムによって供給の蛇口が溶接されており、需要がどれだけ高騰しても供給量は1枚も増やせない。 |
1. データセンター:実は「ハコ」は豚サイクルで余る
世界中でAIデータセンターの建設ラッシュが起きています。しかし、データセンターの「建物」そのものは、言ってしまえば「特別に受電設備と空調を整えた巨大な倉庫」に過ぎません。不動産デベロッパーやファンドが巨額の資金を投じて自由参入しており、建設リードタイムは1〜2年です。
もしテック企業のAIマネタイズが遅れれば、2年後に完成した巨大データセンター群は「借り手のつかない空きフロア」となり、価格破壊の豚サイクルに巻き込まれるリスクを孕んでいます。
2. 電力・送電網・ウラン:物理法則に支配された究極の障壁
一方で、データセンターに電気を届ける「電力・送電インフラ・ウラン」は全く別の世界です。
データセンターの建物は1〜2年で建っても、大型の送電線を敷設し、原子力発電所を新設・再稼働させるには5〜10年の歳月がかかります。そこには住民合意、環境規制、国家の安全保障という、旅客機並みの重厚な参入障壁が立ちはだかります。
私がポートフォリオの柱として、テック株ではなく「電力インフラ」や「ウラン」にポジションを取っているのは、ここが「需要が爆発しても、物理的に絶対に供給を急増できないボトルネック(価格決定権の源泉)」だからです。
3. ゴールドとビットコイン:人工的に増やせない防衛線
政府や中央銀行が紙幣(法定通貨)を無限に刷ることができるため、現金の価値は希薄化(デベースメント)し続けています。
これに対し、ゴールド(金)は地球上の埋蔵限界という物理的障壁に守られており、ビットコインは「発行上限2,100万枚」「4年ごとの半減期」というコードの数学的規律によって供給の蛇口が溶接されています。「どれだけ価格が高騰しても、供給を増やして余らせることができない」という参入障壁を持つからこそ、通貨の希釈から資産を守る最強の盾として機能するのです。
第5章:TSMCとエヌビディアの解剖——王者を襲う「知られざる二重構造」
そして、読者の皆さんが最も気になっているであろう現代の頂点、TSMCとエヌビディア(NVIDIA)にメスを入れましょう。
多くの投資家は「エヌビディアはAI時代の絶対王者だから、株価はずっと右肩上がりで成長し続ける」と信じて疑いません。しかし、需給のレンズを通すと、そこには「知っているようで知らない、残酷な二重構造」が浮かび上がってきます。
1. TSMC:世界で唯一、最先端を作れる「独占の堀」
まず、エヌビディアのチップを実際に製造している台湾のTSMCです。
メモリ半導体が2年周期で豚サイクルの暴落を食らうのに対し、TSMCが作る最先端ロジック半導体は全く余りません。
世界中の企業がTSMCにすがるのは、巨額の設備投資(Capex)だけでなく、何万人もの超優秀なエンジニアが24時間体制で歩留まり(良品率)を極限まで高める製造ノウハウと、「顧客と競合しない(自分たちでチップの設計はしない)」という絶対的な信用という真似不可能な参入障壁(堀)を築き上げたからです。
2. エヌビディア自身の堀:なぜ他社は簡単に追いつけないのか?
では、エヌビディアはどうでしょうか。
「GPUが足りないなら、AMDやIntel、Google(TPU)が大増産して市場を飽和させればいい」と誰もが思います。しかし、それが簡単には起きません。
エヌビディアの強烈な参入障壁は、単なる半導体のスペックではなく「CUDA(クーダ)」というソフトウェアのエコシステムにあります。
世界中のAI研究者やエンジニアは、エヌビディアが15年以上かけて無償提供し、磨き上げてきた開発環境「CUDA」の上でコードを書いています。チップを他社製に変えようとすると、世界中で積み上げられた膨大なプログラム資産をすべて書き直す必要があり、エンジニアが嫌がります。さらに、GPU同士を繋ぐ超高速ネットワーク(NVLink)まで含めた「データセンター丸ごとのシステム」として顧客を囲い込んでいます。
この圧倒的な堀があるため、「競合他社が参入してきて、他社製AI半導体が市場に溢れて暴落する」という直接的な豚サイクルは起きにくいのです。
3. 王者の急所:買い手(ハイパースケーラー)の設備投資サイクル
しかし、ここからが世間の99%が見落としている「最大の死角」です。
エヌビディア自身にどれほど強固な堀があろうとも、「エヌビディアの顧客側が引き起こす豚サイクルの波」からは絶対に逃れられないという冷酷な現実です。
エヌビディアの売上の大半を占めているのは誰でしょうか?
Microsoft、Meta、Alphabet(Google)、Amazonといった巨大テック(ハイパースケーラー)です。
今、彼らは「AIの覇権争いに乗り遅れたら会社が死ぬ」という強烈な恐怖心(FOMO)に突き動かされ、年間で数十兆円という桁外れの設備投資(Capex)をエヌビディアに注ぎ込んでいます。
しかし、冷静に考えてみてください。
過去、2018年や2021年の「暗号資産マイニングバブル」の際、マイナーたちが買い漁ってGPUは歴史的な大不足になりました。エヌビディアの利益は爆発しましたが、暗号資産相場が急落した瞬間、マイナーからの発注は完全にゼロになり、中古市場にGPUが溢れ返りました。その結果、エヌビディアの株価はピークから50〜60%以上も垂直落下した過去があります。
現在起きているAI設備投資も、構造は全く同じです。
巨大テック各社が数兆円かけて買い集めたGPUを使って、「果たしてそれに見合うだけの本物の売上・利益をエンドユーザーから回収できるのか?」という投資回収(ROI)の壁に必ず直面します。
もし「思ったほどAIで利益が出ないぞ」とテック企業の経営陣が気づいた瞬間、彼らは何をするでしょうか?
株主からの圧力に耐えかねて、一斉に「来期のGPU発注(Capex)を凍結・半減」させます。
エヌビディアの製品が陳腐化して余るのではなく、「買い手の胃袋が一気に縮小し、受注の津波がピタッと止まる」。
これこそが、最強の参入障壁を持つエヌビディアの背後にセットされている、巨大な豚サイクルのタイマーなのです。
結び:需要の「物語」を見送り、供給の「事実」を撃ち抜く
「お父さん、前はどこにもなかったのに、なんで今日はいっぱいあるの?」
シールの棚の前で我が子にそう聞かれたとき、私は「みんながたくさん作ってくれたからだよ」と短く答えました。
市場経済とは、実によくできています。
「足りない」という価格シグナルが出れば、人々がリスクを取って増産し、社会全体の不足を埋めようとします。その過程で必ず行き過ぎ(過剰)が発生し、痛みを伴う調整が入る。この波の満ち引きがあるからこそ、私たちは便利なモノを手軽に手に入れることができるのです。
ブームの真っ只中、メディアやインフルエンサーは必ず「需要側の心地よい物語(ポエム)」を語ります。
- 「生成AIは人類の知性を変えるのだから、GPU需要は永遠に右肩上がりだ」
- 「世界がEVへ移行するのは絶対正義だから、リチウムはいくらあっても足りない」
- 「若者文化の定番になったから、タピオカ需要は絶対に減らない」
しかし、人間の心理、流行、景気動向によって、需要の予測などいつでも簡単に裏切られます。
一方で、「供給の事実」は絶対に嘘をつきません。
- 「ライバル各社が、2年後に完成する工場へ総額数兆円の投資契約を結んだ(Capexの事実)」
- 「類似のぷっくりシールを刷るために、文具各社が海外工場へ発注書を流した」
- 「近隣の目抜き通りに、同じようなタピオカ店の出店申請が3件同時に出された」
これらは、すでに支払われた手付金であり、発注された金型であり、キャンセルのできない物理的な事実です。
市場が最もお祭り騒ぎになり、店頭からモノが消え、株価が最高値を更新しているその瞬間こそ、プレイヤー全員が「未来の供給過剰」をせっせと予約している最も危険な瞬間なのです。
だからこそ、私は周囲が半導体の急騰で浮かれていようとも高値を追いかけず、平時は現金比率を高め、物理的に増やせない電力インフラやコモディティを淡々と拾いながら、次のサイクルの歪みを待ち続けています。
波そのものを止めることは、誰にもできません。
しかし、「時間軸(リードタイム)」と「参入障壁」という2つのスコープを持っていれば、押し寄せる大波に呑まれて溺れる側ではなく、波の性質を冷静に見極めてサーフィンを楽しむ側に回ることができます。
次にあなたの周りで「あれが全く足りない!」という大合唱が聞こえてきたとき、ぜひ一呼吸置いて、バックステージで静かに時を刻むタイマーの音に耳を澄ませてみてください。
そのタイマーが鳴り響いた時、あなたはパニックで逃げ惑う大衆の中にいるのか、それとも次のチャンスを静かに狙い撃つスナイパーの席に座っているのか。すべては、あなたの思考のOSにかかっているのです。
当ブログでは、日々の生活で感じる些細な疑問や認知のバグを、経済学・歴史・投資戦略の視点からハックし、資本主義のゲームを穏やかにサバイブするための思考法を発信しています。



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