公開日: 2025年9月11日 / 更新日: 2025年9月11日
導入:お金のデジタル化が加速する
「現金をデジタルで持てたら便利だな」──そんな素朴な願いから生まれたのがステーブルコインです。 価格変動が大きいビットコインやイーサリアムと違い、米ドルや円など法定通貨に連動するため、デジタル資産の中でも安定性を持ちます。
すでにステーブルコインに関する記事をまとめていますが、 今回はシリーズ第2弾として「金融のOS化」という大きな文脈の中で、ステーブルコインの役割を考えてみます。
ステーブルコインの基本と種類
ステーブルコインは大きく3種類に分類されます:
- 法定通貨担保型: 米ドルなどを裏付けに発行(例:USDT、USDC、JPYC)
- 暗号資産担保型: ETHなどを担保にスマートコントラクトで発行(例:DAI)
- アルゴリズム型: 需要と供給を調整して価格を安定化(成功例は少ない)
現在の主流は「法定通貨担保型」です。特にUSDT(テザー)とUSDCは世界中で数兆ドル規模の取引に使われています。
ステーブルコインはイーサリアム上で動くのか?
結論から言えば、多くの主要ステーブルコインはイーサリアム上で動いています。 実際、USDCやUSDT、DAIといった代表的なコインは、ERC-20というイーサリアムの規格で発行されています。
ただし、現在ではSolanaやTronなど他のチェーン上でも利用可能であり、「マルチチェーン化」が進んでいるのも事実です。 つまり、ステーブルコインはイーサリアムを「母体」としつつも、徐々に金融の共通インフラとして拡大していると言えます。
なぜステーブルコインが重要なのか
ステーブルコインが金融のOS化において重要とされる理由は、次の通りです。
- 価格が安定しているため「通貨」として日常的に使える
- 銀行口座を持たない人でもスマホ1つで送金可能
- 国境を越えた取引が即時かつ低コストで可能
- DeFiの基盤通貨として利用され、利息や運用の中心になる
私たちが普段使う「円」や「ドル」をそのままブロックチェーンに乗せたものがステーブルコイン。 つまり、ブロックチェーンの世界と現実の経済をつなぐ「ブリッジ(橋)」の役割を果たしているのです。
日本の事例:JPYCの挑戦
日本でも「JPYC」という円建てステーブルコインが登場しています。 これは法定通貨担保型で、1JPYC=1円として利用でき、すでに一部の決済や電子商取引で実証実験が行われています。
日本では金融庁の規制や銀行法の制約があるため普及は緩やかですが、それでも「デジタル円」の一歩として注目されます。
いんべすた@の視点:失敗から見える「安定」の価値
私自身の失敗談ですが、かつてFXで為替の変動に振り回されて大きな損失を出したことがあります。 その経験から、「安定している通貨」のありがたみを痛感しました。
ステーブルコインは、変動の激しい暗号資産の世界において「避難所」や「土台」として機能します。 投資家が安心して戦略を立てるための「セーブポイント」のような役割だと感じています。
未来シナリオ:OSの一部としてのステーブルコイン
ステーブルコイン単体では、金融のすべてを変える存在にはならないかもしれません。 しかし、イーサリアムというOSの上で「安定した通貨機能」を提供することで、他のサービス(DeFi、NFT、RWA)とシームレスにつながります。
未来のシナリオを描くと、こんな姿が想像できます:
- 給与がステーブルコインで支払われる
- スマホアプリから即時に投資や送金ができる
- 国家や中央銀行もステーブルコイン技術を活用する
すでに欧州やアジアでは中央銀行デジタル通貨(CBDC)の研究が進んでおり、ステーブルコインと共存・競合していくでしょう。
まとめ:あなたにとっての「安定」とは?
ステーブルコインは、暗号資産のボラティリティを補完し、現実の経済とブロックチェーンをつなぐ「安定の部品」として機能しています。 そして多くはイーサリアム上で動いているため、記事1で触れた「金融OS」の中心ピースの一つでもあります。
いんべすた@の「安定」とは古くなった常識を常にアップデートする必要があると思っています。 だからこそ、新たな技術ステーブルコインの存在は個人的にとても大きな意味を感じます。
あなたにとっての「安定」とは何でしょうか?
用語解説(簡潔版)
- ステーブルコイン: 法定通貨などに価値を連動させた暗号資産
- USDT/USDC: 米ドルに連動する代表的なステーブルコイン
- DAI: ETHなどを担保にスマートコントラクトで発行されるステーブルコイン
- JPYC: 日本円に連動するステーブルコイン
- CBDC: 中央銀行が発行するデジタル通貨
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