導入:オフ会で気づかされた「言語化」の壁
こんにちは、いんべすた@です。2025年にFIREを達成し、現在は2026年の世界で、人生の監督席からこの記事を書いています。😊
先日、投資家同士のオフ会に参加してきました。そこで参加者の方から、こんな質問を受けたのです。
「投資信託の複利って、具体的にどういう計算で増えているんですか? そもそも、誰が価格を決めているんですか?」
「えーと、ファンド内で再投資されて…」と答えながら、私は言葉に詰まってしまいました。
あれ?言語化するのが難しい…😅
普段「S&P500を買っておけばOK」と感覚(システム1)で理解してしまっていて、その「中身のロジック」を論理的(システム2)に説明できていなかったのです。
これは、認知科学で言う「分かったつもり(流暢性の錯覚)」に陥っていた証拠です。
今回は、私自身の自戒も込めて、そして「これを見せれば全て解決する」というレベルを目指し、私たちが毎月積み立てている投資信託の「複利のエンジン」と「指数の正体」について、徹底的に解剖します。
第1章:消えた配当金の謎と「複利」の正体
まず、最も重要な「お金が増える仕組み」から解説します。
個別株を買うと「配当金」が銀行口座に振り込まれますが、eMAXIS Slimなどの投資信託では振り込まれません。
それなのに、なぜ「複利効果」があると言われるのでしょうか?
1. 「見えない自動再投資マシン」が動いている
結論から言うと、配当金は消えたわけではありません。
ファンド(運用会社)の内部で、私たちが受け取る前に、勝手に「新しい株の購入」に使われているのです。

- ① S&P500構成企業(Appleなど)から、ファンドへ配当金が入る。
- ② ファンドはそのお金を「私たちに配らず」、その瞬間にAppleなどの株を買い増す(再投資)。
- ③ 結果、ファンドが持っている資産総額(純資産)が増え、私たちが持っている「基準価額」が値上がりする。
つまり、銀行口座にお金は入ってきませんが、「投資信託という『雪だるま』自体のサイズが、勝手に大きくなっている」状態です。
これこそが、私たちが何もしなくても享受できる複利エンジンの正体です。
2. 「再投資型」と「受取型」の違い
投資信託には、この配当金の扱いによって大きく2つの種類があります。
新NISAなどで資産形成をする場合、どちらを選ぶべきかは明確です。
| 項目 | ① 再投資型(累投型) | ② 受取型(毎月分配など) |
|---|---|---|
| 代表商品 | eMAXIS Slim、楽天・全米株式など | ○○・USリート・オープンなど |
| お金の流れ | 配当を内部で再投資。 基準価額が上がる。 | 配当を現金で払い出す。 基準価額は下がる。 |
| 税金のメリット | ◎ メリット大 受け取らないので課税されず、丸ごと再投資される(税の繰り延べ効果)。 | △ デメリットあり 受け取るたびに約20%の税金が引かれる(NISA枠外の場合)。 |
| 向いている人 | 資産を最大化したい現役世代(FIRE準備中)。 | 今すぐお小遣いが欲しいリタイア世代(※タコ足配当に注意)。 |
私たち資産形成層が選んでいる「eMAXIS Slim」などは、ほぼ全て①のタイプです。
税金を引かれることなく、利益が利益を生むサイクルを内部で回し続けてくれる。これが「人類最大の発明」と言われるゆえんです。✨
第2章:S&P500は「機械」ではなく「人間」が選んでいる
複利の仕組みがわかったところで、次は「投資対象(インデックス)」の謎に迫ります。
「インデックス投資は、市場全体に機械的に投資するから感情が入らなくて安全だ」
もしそう思っているなら、2026年の今、その認識を少しアップデートする必要があります。
市場を支配する「3つの審判」
実は、S&P500やオルカンは、完全な自動プログラムで動いているわけではありません。
そこには「指数の提供会社」という、市場のルールを支配する審判が存在します。
私たちが払うコストの一部は、彼らへのライセンス料なのです。
| 指数名 | 算出・提供者 | 特徴・決定権 |
|---|---|---|
| S&P 500 | S&P ダウ・ジョーンズ | 【委員会制】 「選定委員会(人間)」が決定。「四半期連続黒字」など厳しい条件があり、実はアクティブファンドに近い。 |
| MSCI ACWI (オルカン) | MSCI | 【ルールの王様】 世界中の機関投資家がここの基準に従う。機械的なルール運用が厳格。 |
| NASDAQ 100 | Nasdaq Inc. | 【取引所そのもの】 ナスダック市場の代表選手。金融株を除くなど、テック企業に特化。 |
かつてテスラが、時価総額は十分なのに「赤字だから」という理由でS&P500への採用を見送られていたのは有名な話です。
S&P500は、実は「財務健全性フィルターがかかった、選ばれしエリート集団」なのです。
第3章:計算式の解剖と「浮動株・除数」の正体
ここからが少しテクニカルですが、最も重要な「価格決定のロジック」です。
今の主要な指数は、ほぼ全て「浮動株調整後・時価総額加重平均」という方式で計算されています。
① そもそも、どんな計算式なのか?
漢字ばかりで難しそうですが、仕組みを以下の計算式でイメージしてください。
【 指数の値を決める計算式 】
| 全銘柄の「時価総額 × 浮動株比率」の合計 |
| 除数(ディバイザー) |
🔑 分子がデカくなれば指数は上がる:
「時価総額(会社の値段)」が大きい企業ほど、指数への影響力が大きくなります。
そして、謎の言葉「浮動株」と「除数」がこの計算の精度を守っています。
② 「浮動株(ふどうかぶ)」とは?
「時価総額はわかるけど、浮動株って何?」
これは、シンプルに言うと「実際に市場で売り買いできる株」のことです。
💡 なぜ「浮動株」だけで計算するのか?
例えば、ある巨大企業A社の株の90%を、創業者のオーナーがガッチリ持っていて(固定株)、市場には残り10%しか出ていないとします。
もし、これを「時価総額丸ごと」で計算してしまうと、「誰も買えない株の影響力で、指数が動いてしまう」ことになります。
それはおかしいですよね?
だから、「創業者や政府が金庫に入れて市場に出てこない株」は計算から除外し、「私たち投資家が実際に売買できる株(浮動株)」の分だけで指数を計算しよう、という合理的なルールなのです。
③ 「除数(ディバイザー)」とは?
もう一つ、分母にある「除数」も重要です。
これは、指数の「連続性」を保つためのクッション(調整役)です。
例えば、銘柄入れ替えで「大きな企業」が抜け、「小さな企業」が入ってきたとします。市場は暴落していないのに、時価総額の合計(分子)はガクンと減ってしまいますよね?
この時、指数まで暴落しては困ります。
そこで、「分母(除数)」の方も小さく調整して、答え(指数)が変わらないようにするのです。この魔法の数字のおかげで、私たちは安心してチャートを見続けることができます。
第4章:2026年の歪みと「サテライト戦略」
しかし、万能に見えるこの仕組みにも、2026年現在、無視できない「歪み」が生じています。
それが「マグニフィセント7(巨大テック)への過度な集中」です。
時価総額加重平均の性質上、強すぎる企業(Apple, NVIDIA, Microsoftなど)が生まれると、500社に分散しているつもりでも、実は上位数社に運命を託している状態になります。
S&P500の上位7社だけで、全体の約30%以上を占めるのが現状です。
【実践編】市場の歪みを回避する「具体的な商品」
「S&P500の弱点はわかった。でも、ハイテク暴落が怖い場合、具体的に何を買えばいいの?」
そんな方のために、時価総額加重平均の罠を避けるための「サテライト(脇役)」として有力な選択肢を紹介します。
| 戦略 | 商品名・愛称 | いんべすた@の視点 |
|---|---|---|
| ① 均等加重 (Equal Weight) | インベスコ S&P 500 イコール・ウェイト(RSP) | GAFAM等の巨大ITが転ぶと信じるならこれ。500社を0.2%ずつ平等に扱う「真の分散」。 |
| ② 配当貴族 (Quality) | Tracers S&P500 配当貴族インデックス | 【推奨】実はこれも「均等加重」。25年以上増配の超・優良企業だけで構成された守りの要。 |
| ③ 除く米国 (Ex-US) | 楽天・全世界株式 (除く米国) | 「米国一強」が終わる未来への保険。欧州・新興国への分散を強化したい時に。 |
📢 合わせて読みたい:NISA戦略の「出口」
仕組みを理解したら、次は「具体的な枠の使い方」です。
私の過去記事で、2026年以降のNISA戦略とポートフォリオを公開しています。
今回の知識とセットで読むことで、より盤石な資産形成が可能になります。
まとめ:仕組みを知れば、握力は最強になる
長くなりましたが、今回のまとめです。
- ✅ 複利の正体: 配当が払い出されず、内部で勝手に「再投資」されているから雪だるま式に増える。
- ✅ 浮動株: 「市場に出回っている株」だけで計算されている。創業者の持ち株は無視。
- ✅ 指数の歪み: 勝者が勝ち続ける仕組みゆえに、現在は「ハイテク集中」が起きている。
- ✅ 対策: 怖ければ「均等加重」や「除く米国」をサテライトで混ぜる。
20代の私がギリシャショックで退場したのは、これらの仕組みを知らず、ただ「雰囲気」で投資をしていたからでした。
暴落が起きた時、中身を知らない人は恐怖で売ります。しかし、仕組み(自動リバランス機能など)を知っている人は「ああ、今はシステムが調整しているんだな」と冷静に見守ることができます。
この記事が、あなたの投資の「握力」を強めるきっかけになれば幸いです。
もしオフ会で同じ質問をされたら、この記事をスマホで見せてあげてくださいね。😊

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