執筆:いんべすた@ | 最終更新:2025-12-01
こんにちは、いんべすた@です。
まず端的に言います。S&P500は強い。だが、だからこそ「万能」だとは言えない状況になってきました。
30年前のS&P500は「街の景色」そのもの──銀行、石油、流通、製薬。実体経済に根ざした企業群が指数を構成していました。ところが今、指数を牽引する存在は明確に変わりました。Nvidia、Microsoft、Apple、Amazon、Meta、Alphabet、Tesla──いわゆるMag7が指数を支配する時代です。
ポイント:
- 「インデックス=分散」は見た目の話で、構成内部での偏りは進行中。
- インデックス自体への受動的資金流入が“構造的買い”を作り、需給が株価を押し上げる仕組みになりつつある。
第1章:なぜS&P500は“テック偏重”になったのか
ネットワーク効果とスケーラビリティ
インターネットとソフトウェアは「低コストで世界を覆える」仕組みをもたらしました。1つヒットすれば世界中に瞬時に広がり、追加コストは相対的に小さい。だから、利益率は極端に高くなり得ます。Nvidiaのように、半導体で圧倒的な利幅を叩き出す企業も現れました。
結果としての時価総額集中
利益が集中し、投資家の期待(=PER)が高まると、時価総額加重のインデックスは自然に“その企業群”に引っ張られます。結果、見かけ上は多くの銘柄に分散しているが、実態は上位少数で指数が決まる構図ができあがる。
(ここで言う盲点“スコトーマ”とは、私たちが見たくないものを無意識に見落とすこと。インデックスの「分散神話」もその典型です。)
第2章:インデックス投資バブルとは何か?
「投資信託」「ETF」「積立NISA」──受動的資金が月次で流れる構造は、株価の需給を大きく歪めます。時価総額が大きい銘柄ほど買われ、さらに時価総額が大きくなるという正のフィードバックが効く。これが「インデックス投資バブル」と私が呼ぶ現象です。
「買われるから上がる」という需給原理が強まり、価格発見の機能が弱まると、指数は実力以上の評価を受け続ける可能性が生まれます。
注意:これは“インデックスが悪い”という話ではありません。むしろ、インデックスは個人投資家の強い味方です。ただ、「構造」を理解せず盲目的に信じるのは危険です。
第3章:AI投資競争がもたらす“レジーム変化”
AGIを巡る総力戦
OpenAIをはじめとするプレイヤーの台頭は、単なるプロダクト競争を超えています。勝てばプラットフォームを支配し、負ければ市場での立ち位置を失う。だからこそ、巨額の設備投資と人材投資が続きます。ここで注目すべきは、
- 設備投資(データセンター、半導体)が史上最大級に膨らんでいること
- その支援で潤う企業群(Nvidia、TSMC等)のリターンが連鎖的に変わること
何が壊れるのか、何が残るのか
AIは既存のビジネスモデルを破壊する余地を持ちます。ネット広告、検索、ソフトウェア、自動化サービス──勝者が集中すれば、これまでの“共存”モデルは変わります。結果、S&P500を支えてきた「共存型の緩やかな成長」は揺らぐ可能性があります。
第4章:S&P500をやめるべきか? 私の結論
答え:やめる必要はない。ただし、“S&P500だけ”は危険。
S&P500は依然として長期投資の強力な土台です。問題は、その性質が変わったことを知らずに「万能」と思い込むこと。だからこそ、補完する“分散”を加えることが重要です。
いんべすた@の行動指針
- インデックスは土台に残す(積立は継続)
- 偏りを理解して補完的資産を加える(債券・金・カバードコール等)
- 個別テーマは小ロットで“攻め”に回す
第5章:いんべすた@流「真の分散」5本柱(実践編)
① インデックス(基礎)
S&P500、全世界株、QQQなどをコアに。長期で資産形成の土台になります。
② コモディティ(ゴールド等)
インフレや通貨デバリューションに備える“保険”。私は現物とETFを併用して保有しています。精神的な安心にも効く。
③ 債券(長期・中期)
株が崩れたときのクッション。金利水準が上がった今、債券も無視できないリターン源です。
④ インカム系(カバードコール等)
JEPQ、QYLD、2865など、配当・プレミアム収入でキャッシュフローを作る。FIRE後の生活安定に直結します。
⑤ 個別テーマ(AI・半導体・ヘルスケア等)
成長を取りに行く“攻め枠”。ただし全体の5〜10%にとどめ、バリューエントリーを心がけること。
※ポートフォリオ比率は人それぞれ。重要なのは「相関を意識すること」。同じ方向で動く資産ばかりを寄せ集めてはいけません。
第6章:投資は“脳のゲーム”でもある—無意識の更新が必要だ
ここからは僕の個人的話をひとつだけ。過去、FXで大きく失敗した経験があります。あの時の学びは単純でした——
- 相場の常識を盲信することの危うさ
- 「心理(無意識)」が投資判断を狂わせること
- 構造が変わったら自分の行動を変える勇気が必要であること
投資はテクニックの集合だけど、最後は「自分の脳」をどう扱うかに帰結します。情報に流される無意識(スコトーマ)を外し、自分で仮説を立て検証する。この習慣があれば、S&P500のような大きな変化も冷静に捉えられます。
第7章:具体的なチェックリスト(今すぐできること)
- 自分のポートフォリオを“支配的銘柄”の比率で見直す(上位10社の寄与は?)
- コモディティ(特に金)を一定割合で検討する(心理的保険)
- カバードコール等で安定的なインカムを作るテスト運用
- 個別テーマ(AI等)は小ロットで定期的に積み上げる
- ポートフォリオ全体の相関を確認する(月次レビュー)
まとめ:S&P500神話の終わり? — それは終焉ではなくアップデートの合図だ
結論をもう一度。S&P500は終わらないかもしれない。だが、S&P500の“性質”は変わった。それを知らずに今まで通りの行動を続けるのは危険です。
本当に大切なのは、
「過去の勝ち筋をそのまま未来に持ち込まない勇気」と「時代変化に合わせ戦略を柔軟に更新する習慣」
これができる人が、これからの相場で生き残る。FIREを目指すならなおさらです。インデックスは土台に置きつつ、真の分散=リスク源を分ける資産配分を。これが僕からの提言です。
最後に:この記事は私(いんべすた@)の視点での大局観です。投資判断は自己責任でお願いします。
いんべすた@FIRE達成 / 投資・行動心理ブロガー

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