投稿日:2025年8月30日|著者:いんべすた@
はじめに:お金の未来を考える「宇宙会議」
私たちが普段使っている「お金」。それは当然のように存在しているものですが、歴史を振り返ればお金の形は時代とともに大きく変わってきました。そして今、ビットコインやステーブルコインなど暗号資産の登場をきっかけに、私たちは「お金の本質」を再び問い直すタイミングに立っています。
佐藤航陽氏は、ベストセラー『お金2.0』の著者としても知られ、「お金の未来」を長年にわたり探究してきました。近年は「宇宙時代の経済システム」にまで視野を広げ、お金がどのように変化していくかを語っています。本記事では、佐藤氏の話をベースに、いんべすた@としての視点も交えながら「お金の進化」と「未来」を読み解いていきます。
1. お金の歴史と役割:物々交換から「価値の保存・交換・尺度」へ
人類の経済は、もともと物々交換から始まりました。お米と魚、木材と塩といった交換が行われていましたが、保存性や持ち運びの難しさが大きな課題でした。そこで登場したのが「お金」という仕組みです。
- 価値の保存:腐らない貝殻や金銀が、価値を保つ手段となりました。
- 交換の媒介:物々交換の不便さを解消し、取引をスムーズにしました。
- 価値の尺度:価格を「1ドル」「100円」と表すことで、価値を数値化する機能を持ちました。
紙幣も、もともとは銀行に預けた金の引換券に過ぎませんでした。しかしやがて金の裏付けを失っても流通するようになり、現在の「信用通貨(フィアット)」の時代に至っています。ここで重要なのは、「お金は人間の信頼で成り立っている」という点です。
2. 現代におけるお金の価値の揺らぎとインフレの時代
近年、世界中で「インフレ」が話題になっています。インフレとは物価が上がり続ける現象で、裏を返せば「お金の価値が下がり続ける」ということです。
政府が大量に紙幣を発行すれば、供給が増えて価値は下落します。アメリカや日本の財政出動は、市場に資金を供給し続けていますが、その副作用がインフレです。トランプ大統領が打ち出した関税政策のように、世界的なコスト増加もインフレを押し上げています。
このような時代、人々は「現金を持つリスク」を避け、金(ゴールド)、不動産、株式、ビットコインといった形あるもの・供給が制限されているものに資産を移します。これは私自身も強く実感しており、ポートフォリオの中にはコモディティや暗号資産を一定割合入れています。
レイ・ダリオ氏の理論によれば、国家は「成長 → 借金拡大 → バブル → 崩壊」のサイクルを数十年〜百数十年単位で繰り返すとのこと。つまり、通貨の価値は永遠ではなく、国家の衰退とともに紙くずになるリスクを常にはらんでいます。
3. 「通貨の民主化」と「通貨を創造する力」
佐藤氏が強調するのは「通貨を創造する力」です。これは単にお金を稼ぐのではなく、自分でお金の仕組みを作り出す能力のことを指します。
- 株式やトークンの通貨化:前澤友作氏のように、株式をばらまき、それをインセンティブにすることで「新しい通貨」として機能させる例。
- ブランドやモノの通貨化:時計やスニーカーなど、需要があれば「価値保存手段」となりうる。
- SNSの影響力:フォロワー数やエンゲージメントが広告価値を生み、まるで通貨のように振る舞う。
このように、政府の中央銀行が発行する通貨だけが「お金」ではなくなりつつあります。むしろ、個人や企業が自分の価値を通貨化していく「通貨の民主化」が進むと考えられます。
4. 宇宙時代における「お金」の可能性:重力とエネルギー
では、人類が宇宙に進出したとき、「お金」はどうなるのでしょうか?佐藤氏の視点は非常にユニークです。
地球で価値があるとされる金やダイヤモンドも、宇宙にはほぼ無限に存在する惑星があります。その瞬間、希少性が失われ、価値は暴落します。つまり「地球基準の価値観」が通用しなくなるのです。
代わりに、宇宙では次のようなものが「通貨」となりうると考えられます。
- 重力:人間にとって快適に暮らせる人工重力を作り出せる技術や施設は極めて希少。その提供能力は宇宙での富の象徴になる。
- エネルギー:太陽光発電、核融合、惑星資源の確保など、エネルギーを制するものが宇宙経済を制する。
そして広大な宇宙での通貨システムには、中央集権ではなく分散型の仕組みが必要です。そこで重要になるのが「ブロックチェーン」。地球の銀行ではなく、太陽系規模の分散台帳で経済が動く未来が見えてきます。
結論:常識を捨て、新たな価値を創造する時代へ
今、私たちの目の前にある現実は「国家の通貨が揺らぐ時代」です。インフレが進み、通貨の価値が薄れる中で、個人や企業が自分の価値を通貨化する動きが加速しています。そして人類が宇宙へと進出する未来では、重力やエネルギーといった、これまで考えもしなかったものが「お金」になる可能性があります。
つまり、「お金とは何か?」という問い自体がアップデートされる時代に私たちは生きています。投資家としても、ただ通貨や株を追いかけるのではなく、「新しい価値の創造」にどう関わるかが問われているのです。
佐藤氏の示唆は、私にとっても強烈な気づきでした。これからは「稼ぐ」より「創る」。お金に使われるのではなく、お金を定義し直す側に立つ。そんな未来に備えて、私も投資・発信・学びを続けていきます。
コメント